<長いいきみが一因>
わたしたちは、毎日せわしく忙しい生活をしていることが多く、 朝などは、ろくにトイレに行く時間すらままならないという人が多いようです。 朝食をとって、胃に食物が入ると、まもなく「胃・結腸反射」という現象が起こって、 腸が動きだし、便意をもよおします。

ところが、せっかく起こった貴重な朝の便意を、出勤・登校までの時間に 余裕がないために我慢をしたらどうなるでしょう? たまにだったらいいですが、 日常的にそういうことをくり返していたら、だんだんと直腸の反射がにぶくなって、 便がたまっても便意に敏感に反応できなくなっていきます。 その結果、いわゆる便秘症になってしまうのです。

習慣性の便秘になると、排便時には硬い便を出さなくてはならなくなり、 排便時に強く、長くいきんだり、気張らないと便が出なくなってしまいます。 腹圧をかけることによって、直腸の静脈叢の血液がだんだんうっ血し、 それが増殖して腫れてきて、ついには痔、つまり痔核になってしまいます。 排便時の強いいきみが、内痔核の一因になるのです。排便時のいきみは普通、 一秒程度がよいとされており、せいぜい四〜五秒が限度です。

排便に苦労したことがある人ならわかると思いますが、それ以上いきむと、 立った瞬間にくらくらと立ちくらみがするでしょう。排便時の腹圧は、 なんと、150〜300ミリ水柱圧にもなります。横になって寝ているときの 腹圧が10ミリ、立っているときでも50ミリですから、いかに高いかおわかりでしょう。

ですから、頭がくらくらするほどいきんだら、いったいどのくらい腹圧が上がっているでしょうか。 想像もつかないほど高くなることは確かです。 ちなみに、女性はお産のあとに内痔核になりやすいのですが、 原因は出産のときのいきみで腹圧が上がるためといわれています。

<痔核は、次のような原因で起こり、悪化します。>
◆便秘やトイレの長い人
◆長時間、同じ姿勢をとる
◆妊娠・出産
◆香辛料・アルコールのとりすぎ