現在日本では、「3人寄れば、痔主が1人」と言われているように、痔はとっても身近な病気の1つです。


痔の発症率は、日本人と外国人とでは、さほど変わりはありません。 しかし、痔にかかる率は同じでも、症状の程度は大きく違っています。 日本人の場合は、国民性が出てしまうのか、がまんできないほど症状がひどくなってから 病院へかけこむ人が多いようです。

<受診が遅れる理由として>
1.診察を受けるのが恥ずかしい
2.痔で死ぬこともないから医者に行くのがめんどうだ。
3.医者に行くとすぐに手術をされてしまう。
4.痔の手術は死ぬほど痛いそうだ。
5.痔の手術は何週間も入院しなくてはならない。
6.痔は手術をしても再発する

外国人の患者さんの場合は「痔かな」と思ったら恥ずかしがらずに、すぐ受診する傾向にあります。 そのために比較的、症状の軽い人が多いというわけです。 痔の種類にもよりますが、早期に治療を始めれば、現在の医療では、ほとんどの痔は手術しないで治すことができます。

先進各国での痔核の手術率をみると、ドイツで7%、イギリスで5%、アメリカで4%という調査結果があるように、 日本に比べて手術率は低くなる傾向にあります。 恥ずかしがらずに、できるだけ早く専門医に診てもらうこと、これが痔を治すいちばんの早道といえるでしょう。


最近の医療では、患者さんを治療する医師が、その患者さんが治療のあとに充実した人生を 送れるかどうかを考えながら治療を行うクオリティー・オブ・ライフ(Quality Of Life:生活の質)。

また、医師が治療をする前に患者さんに、これから行う治療がどのようなものなのか、 そしてその治療をすることによってどのように病状がよくなるのか、をよく説明し、 患者さんがそれを納得してから治療を行うインフォームド・コンセント(Informed Consent:説明と同意) が常識となっています。

1.薬学的処置
2.外科手術とその他の処置
3.セルフケア


の三本柱が必要と考えています。

1「薬学的処置」と2「外科手術とその他の処置」は、医師が行う治療ですが、それにもまして大切なのが 3「セルフケア」です。よく、「病気を治すのは、本人の自然治癒力で、医師と薬はその手伝いしかできない」といわれます。 痔の治療においても同じで、患者さんが自分の健康管理をきちんと行い、 痔になりにくい生活環境をととのえること、すなわちセルフケアをすることが痔を治すポイントになります。